浄土宗新聞

寺院一体型のホテルで旬を織り込んだ京料理に舌鼓 僧伽小野 京都浄教寺

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京都市下京区・浄教寺

ディナーコースの一番人気「華」(税込5800円)。春は山菜や若竹などが登場する

 今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の影響で、源氏物語ゆかりの地に熱視線が注がれる京都。市内随一の繁華街・四条河原町に降り立ち、「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」へと向かう。
 なぜホテルにお寺の名前が? と不思議に思われる方もいるだろう。もともと浄教寺は570年の歴史を持つ浄土宗の古刹であったが、老朽化した伽藍の整備に併せ、「これからの新たな寺院としての形」を探求した結果、同寺では多くの観光客が訪れる立地の強みを活かした「ホテル共存型の寺院」として令和2年に落慶した。
 宿泊客は朝はロビーから窓越しに本堂を見られたり、朝のお勤めも体験できたりするなど、お寺を身近に感じられる工夫がされている。
 特にお檀家さんからも「お寺に食事ができる場所ができて嬉しい」との声が聞かれるのが、ホテル2階に誕生した今回ご紹介する『僧伽小野 京都浄教寺』である。ミシュランガイドにも掲載されたことがある福岡県糸島市の料理旅館の系列店だ。モダンで落ち着いた店内で、40年以上の研鑽を積んだ料理長が振る舞う京料理を味わえる。
「京都産の旬の食材にこだわり、その美味しさを引き出すことを大切にしています。京都の地鶏・七谷鴨を使った料理は、旨味が濃いと特に好評です」と話すのは、店長の原亮さんだ。
 ディナーコースメニュー「華」は、春は菜の花や空豆を使った先付・八寸に、紙鍋、自家製の蕎麦、強肴、ご飯といった内容。鰹と昆布の出汁が風味豊かな鍋は京風で、野菜の旨味が溶け込んでいる。この日の強肴は真鯛の朴葉焼き。粒感のある粗味噌のソースが出色の出来で、鯛や海老、里芋をしっかりとまとめている。心躍るのは、土鍋で炊かれる銀しゃりだ。立ち上る湯気にうっとりしてしまう。京・丹後産ヒノヒカリを自家精米したというお米は粘り気が少なく、まろやか。
 京料理の真髄を受け継ぐ和食店と、時代に合わせ柔軟に姿を変える寺院。京都が千年残る都である理由を垣間見た。
 (ライター:岡本茉衣)

〒600-8031 京都市下京区寺町通四条下る貞安前之町620 三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺2F
TEL:075-708-8868
■営業時間=11時〜15時30分(L.O 14:30)/ 17時〜21時30分(L.O 20:30)
※販売予定はHP参照(自動販売機あり。売り切れ次第終了)
■定休日=不定休
■阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約1分
■駐車場なし
■HP=https://www.gardenhotels.co.jp/kyoto-kawaramachi-jokyoji/