横浜の老舗茶舗が提案する 暮らしに寄り添う日本茶 茶の栗田園

横浜中華街の隣、観光地として人気の山手エリアの商店街に大正13年創業の「栗田園」がある。
「横浜とお茶。結びつかないでしょ?」
話を聞かせてくれたのは3代目社長の栗田裕さん。
「横浜開港時、日本茶は主要な輸出品でした。だから、横浜には全国のお茶が集まっていたんです」
そんな時代の中、静岡県掛川市で製茶会社に勤めていた栗田さんの祖父の銀平さんが、独立して横浜に移り、始めたお茶店が「栗田園」。
「今はペットボトルのお茶しか知らない人が増えています。これは危機です。お茶は日本の文化で、絶対に無くしてはいけません」
現社長の栗田さんがまず取り組んだのは、日本茶を一杯から淹れられるティーバッグの充実化。全国各地の茶葉のパッケージには、娘のはるなさんが考案した可愛いデザインを取り入れた。さらに、お茶に合うスイーツやお茶を使ったジェラートも開発。
すべては、「気軽にお茶のおいしさに触れてほしい」という思いからだ。
文明開花の窓口となった横浜は、新たな挑戦をしやすい空気がある。この地で、初代から受け継がれてきたお店の伝統を守りながら新たなことに挑戦を続ける栗田さんが、お茶のおいしさを知ってもらうため、力を入れるのは、商品開発だけではない。
「お茶のおいしさを体感してほしくて、小学校や中学校でお茶の授業を続けています。急須で淹れたお茶は『香りがいい』『おいしい!』と新鮮な反応が返ってきます」と、栗田さん。
日本のお茶文化は、繊細な感性の賜物であり、暮らしを豊かにするもの。栗田園はこの文化を継承する一端を担っている。
ほっとする一杯、料理に合うさりげない一杯、心身がスッキリするほろ苦い一杯。一杯のお茶が人の暮らしに寄り添うことを、栗田さんは切に願っている。
(ライター:藤岡操)

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