月に見立てたカボスが浮かぶ 宇宙を想う大分銘菓 フランス菓子 ポワッソン ルージュ
大分県大分市・浄土寺檀信徒
大分市の洋菓子店といえば、地元では知らない人はいない老舗「ポワッソン ルージュ」。
「大分空港限定のお菓子『ゴーリューの空』、ぜひ食べてください」。案内してくれたのは店主の青木眞理子さん。
『ゴーリューの空』は、大分が誇る江戸時代の天文学者、麻田剛立にちなんだお菓子。浄土寺の結城文宏住職が発案し、先代の青木邦ニさんとタッグを組み、試行錯誤を繰り返して完成した。
「大分のカボスを使いたくて。ところが、カボスの皮の渋みを抜くのが大変でね…」
聞けば、すべてが手作業。旬のカボスは形が崩れないよう包丁で薄くスライスし、ゆでこぼして皮の渋みを抜いた後に、企業秘密のリキュールで風味を加え、1週間かけて仕込む。生地にはアーモンドプードルを使い、しっとり香ばしく焼き上げる。
ひと口いただくと、温かみのあるシナモンの風味とカボスの爽やかさが絶妙のバランスで広がる。次の瞬間にはフルーティーな甘みがふわり。カボスの皮の食感も楽しく、嚙むたびに香り立つ。まるで口の中が未知の世界を探険しているような楽しさ!
麻田剛立の伝道師として、絵本『ゴーリューの空』の監修も行った結城住職曰く、
「『ゴーリューの空』は剛立が発見した日食を表現したお菓子です。タルトは太陽、カボスは月。空を見上げるだけでも学ぶことはできる。空は無限の宇宙ですから」
この言葉が耳に残った帰り道、夕暮れの空にかわいい三日月を見つけた。気持ちがふっとほぐれた。
さて翌朝、前日の取材中にカフェコーナーで常連さんたちがほおばっていたクリームたっぷりのシュークリームが忘れられず、散歩がてら再訪門。シュークリームはカスタード(140円)と生クリーム(150円)の2種類があり、どちらも優しい甘さで朝食代わりに2個ペロリ。カフェコーナーの端っこに差し込む朝の太陽がキレイだった。
(フードライター:藤岡操)
店舗情報
〒870-0031
大分県大分市勢家町1-4-6
TEL: TEL:097-534-2059
FAX:097-532-3104
HP:https://www.poissonrouge.jp/
■営業時間=9時~19時
■定休日=木曜日
■JR「大分駅」より徒歩20分(駐車場あり)
※価格は税抜
※店舗販売の焼き菓子は電話またはFAXにて通販可