浄土宗新聞

コンフィチュールが演出する 五感で楽しむ創作イタリアン 古民家レストラン ナラヤマソウ

投稿日時

奈良県吉野町・法雲寺檀信徒

ランチセット(コーヒーor紅茶、デザート付き)1720円
ランチセット(コーヒーor紅茶、デザート付き)1720円

近鉄吉野線大和上市駅からバスに乗り、山道をグングン進む。バスを降りてすぐ、坂の上に見えるステキな古民家が「ナラヤマソウ」だ。
出迎えてくれたのは、オーナーでコンフィチュール作家の東史(あづまふみ)さん。コンフィチュールとは、果物をシロップや香辛料などと一緒に煮詰めて作るいわゆるジャムの一種。「ナラヤマソウ」では、史さんと、奈良市にある「トラットリア ピアノ」の稲次知己(いなつぎともみ)シェフのイタリアンのコラボ料理が評判だ。
ランチセットは華やかなプレートで登場。ミルクのコンフィチュールを使ったスープを口にすると優しい味がふわり。摘果された青トマトのコンフィチュールドレッシングのサラダは甘酸っぱくて軽快。レモンのコンフィチュールを使った豚しゃぶトマトソースは、時々現れるレモンの香りとほろ苦さにドキッ! 口にするたび、五感に響く。
「コンフィチュールは料理に使う想定であっさり味に仕上げています。素材の味を生かすため、砂糖を減らし、炊く時間は短く。ジャムより日持ちは短いけど、そのほうが美味しいから」

ランチセットに+100円でコンフィチュールドリンクが付く
ランチセットに+100円でコンフィチュールドリンクが付く


食材は、鮮度はもちろん収穫のタイミングも重要。雨の後は味が薄くなるため「雨が降る前に!」と、地元の農家さんから、急遽、野菜や果物が届き、寝ずの作業になることも珍しくないという。史さんは「そのほうが美味しい」と繰り返す。この混じり気のない信念は3年間の試行錯誤の結果。その美味しさの源だ。
帰宅後、お土産の青トマトのコンフィチュールをそのまま食べて驚いた。まさにトマト。摘果され、捨てられてしまう未熟な青トマトがこんなにも力強い味を持っていたなんて。バターたっぷりのスクランブルエッグトーストに添えてみると、スイートポテトのような味がして、またびっくり。魔法にかかったような気分で、吉野の山、水の音、心地よい風を思い出し、しばし旅の余韻に浸った。
(フードライター:藤岡操)

店舗情報

オーナーの東さん(右)とシェフの稲次さん(左)
オーナーの東さん(右)とシェフの稲次さん(左)

〒639-3325 奈良県吉野郡吉野町柳881
TEL:0746−35−7003
■営業時間=11時30分~16時30分(ラストオーダー16時)
■定休日=HP参照。1~3月半ばまで冬季休業
■HP=http://narayamasou.syncronicity.co.jp/
■近鉄吉野線「大和上市駅」より車で約20分、町営予約乗合バス「別所北」下車すぐ(予約制:TEL:0746-32-0550)
※価格は税込
※コンフィチュールの通販あり