浄土宗新聞

瀬戸内海に浮かぶ小さな島で丁寧に作られる 絶品レモンケーキ  和洋菓子 一正堂

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広島県大崎上島町・西光寺檀信徒

瀬戸内海のほぼ中央に位置する大崎上島。広島市と尾道市の中間に位置する安芸津港からフェリーに乗り込み約30分、しまなみ風景を眺めていると、大崎上島が見えてくる。
温暖少雨な気候のおかげで年間を通して過ごしやすく、みかんやレモンといった柑橘類を中心にさまざまな作物が生産されている。
港から15分ほど、海と木々の美しいコントラストを眺めながら歩いていると、和洋菓子店『一正堂』はある。
その佇まいは、レトロな町のお菓子屋さん。聞いたところ、創業から100年は経っているという。この小さな店が島民から愛される理由は手づくりのレモンケーキにある。
レモンの形をしたレモンケーキは、広島発祥のお菓子。大正時代に物産館で紹介されたレモンケーキが好評を博し、瞬く間に県内に広がった。お使い物といえばレモンケーキであり、仏壇にも供えられていたという。このレモンケーキが全国に伝わり、これまで度々ブームを起こしてきた。

レモンケーキは160円。手土産として重宝され、これを目当てに島を訪れる人も多いという
レモンケーキは160円。手土産として重宝され、これを目当てに島を訪れる人も多いという


一正堂でレモンケーキを作り始めたのは、先代の4代目店主の頃。製法があまりにも完成されていたからだろうか、材料の配合や作り方は当時のままだという。
レモン型のバターケーキをレモン風味のチョコレートで包んで仕上げたレモンケーキはまさに正統派。頬張ると、しっとりした口当たりと甘酸っぱいレモンの風味が調和し、優しい味わいが口に広がる。
取材中にもお使い物だろうか、レモンケーキを箱ごと買い求める客が来店。手土産として島民から愛されるのも納得だ。
この緑豊かな大崎上島の人口は約8千人。若者は職を求めて本土に渡ってしま
う。5代目店主・正畠遥尋(しょうばたはるひろ)さんも一度は広島市内で就職したが、「この島で子どもを育てたい」と十数年前に島に戻って来たという。島を愛する心とともに、この味も守り続けてほしいと願いながら島を後にした。
(ライター: 岡本茉衣)

店舗情報

5 代目店主の正畠遥
尋さん
5 代目店主の正畠遥 尋さん

〒725-0301 広島県豊田郡大崎上島町中野4054-7
TEL:0846-64-2132
■営業時間=8時30分〜18時30分
      (売り切れ次第終了)
■定休日=第3日曜日
■大崎上島大西港より徒歩15分
■駐車場なし
※価格は税込