浄土宗新聞

186年ぶり2度目の修復 寺宝「涅槃図」開眼式を厳修 新潟・極楽寺

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開眼された同寺所蔵の刺繍「涅槃図」

 6月4日、明治・大正期に活躍した念仏行者山崎弁栄上人(1859―1920)終焉の地として、また江戸時代後期の禅僧・良寛の晩年を看取った弟子貞心尼ゆかりの寺として有名な新潟県柏崎市の極楽寺(籠島浩恵住職)で、檀信徒や市民100名が参加して刺繍「涅槃図」修復の開眼式と講演会が催された。
 同寺は数多く軸物を所蔵することでも知られているが、圧巻が刺繍の「涅槃図」と「観経曼荼羅」。今般修復された「涅槃図」は24世岌廣上人の弟子覃瑞が師僧供養のため47歳から3年かけて昼夜怠らず念仏をとなえつつ針を刺し、寛政6年(1794)に完成させた。
 縦約5㍍、横約3㍍、重さ約12㌔。8本の沙羅の木が等間隔で立ち、北枕で横臥する釈尊を中央に、悲しみにくれる弟子や天竜八部衆を周りに、そして動物たちを下部に配するというもの。弟子や鬼神には、その下に逐一名前を入れるなど、精密に仕上げてある。
 同図は天保8年(1837)に一度修復されているが再び劣化が深刻になったため、今回、186年ぶり2度目の修復となった。作業は令和2年4月から3年をかけて完成、今日の開眼の運びとなった。
 当日は、開眼供養が行われ、その後、仏教工芸が専門の大阪市立美術館館長・内藤栄氏が「極楽寺の繡佛」について講演された。日本の造仏(特に繡仏)の歴史を、時代を追って説明された後、同寺が所蔵する4点(「六字名号十界曼荼羅」「選択十六章曼荼羅」「涅槃図」「観経曼荼羅」)について、用いた糸と刺繍の技法を解説された。
 修復は、京都の国宝級文化財を手掛ける岡墨光堂が出がけ費用は約2300万円。檀信徒からの勧募、柏崎市・朝日新聞文化財団・文化財保護芸術研究助成財団の助成金を得て行い、世紀の大修復となった。
 籠島住職は「作業が無事成就したこと、皆さまとのご縁による賜物と感謝いたします」と謝意を述べた。