浄土宗新聞

一度立ち止まり 一年を振り返る 除夜会

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 年の瀬も12月半ばを過ぎると、新年を迎えるための準備で、慌ただしい日が続きます。そんな年末の行事と聞くと「除夜の鐘」を思い浮かべる方も多いでしょう。12月31日にお寺や、テレビから聞こえる低く重々しい「ゴーン」という鐘の音を聞くと、「今年も終わり」と実感しますね。
 「除夜」とは、「旧年を除き、新年を迎える夜」という意味で、まさに一年の終わりを告げる合図ともいえます。「除夜の鐘」をつく回数は、一般的には108回と言われます。これは、仏教において人間には貪欲(むさぼり)・瞋恚(いかり)・愚痴(おろかさ)などに代表される、苦しみを生み出す原因、克服することのできない煩悩が108種あるとすることから、一説にはそれを取り払おうと願いを込め、108回ついているのです。
 「除夜の鐘」は、ただ鐘をつくだけの行事と思われますが、「除夜会」という法要の一環として行われているものです。
 この法要は新年の幸福を祈るものですが、その肝要は一年の締めくくりに、自分の言動を見つめなおし、反省する「懺悔」といえましょう。
 私たちは、日々を過ごすなかで、さまざまなことに追われ、しっかりと自分自身と向き合って反省する機会をなかなか持てません。だからこそ、一年の区切りとなる「除夜会」は、自分自身をゆっくりと振り返る絶好の機会となります。
 そして、その反省を心に刻み、次につなげるのが一番大切なこと。形式的な反省でなく、自分自身をしっかりと見つめ、どう進んでいくのがよいか自らと向き合うことが、よりよい一年のスタートにつながるのではないでしょうか。
 来年は浄土宗が開かれて850年の節目の年になります。浄土宗を開いた法然上人は、長年に渡る修行のなかで自分自身と向き合い続けた結果、「南無阿弥陀仏」ととなえれば救われるという、あらゆる人が等しく救われる教えを見つけ出されました。
 その節目を直前に控え、私たちもしっかりと自分自身と向き合うことで、実りある人生を育んでまいりたいものです。