令和6年能登半島地震 浄土宗寺院65カ寺に被害 本宗寺院が救援物資集積所に
能登半島を震源に1月1日に発生した巨大地震(最大震度7)の被害は、石川県を中心に、富山、新潟、福井各県など広範囲に及び、懸命な救助作業にもかかわらず、死者222名、重軽傷者997名の人的被害(内閣府発表・1月17日時点)のほか、多くの家屋に被害をもたらした。
体に感じる地震が1431回を超えるなど余震が続く不安な状況の中、いまだ多くの人が不自由な避難生活を強いられている。
浄土宗寺院の被害も甚大で、1月19日現在、浄土宗が被災地域の教区から収集した情報によると、本堂・庫裡・山門等の倒壊、屋根瓦の落下、本尊・仏具等の損傷、墓石の倒壊などが、石川教区29カ寺、富山教区20カ寺、新潟教区16カ寺となっており、これらの教区の多くの檀信徒も被災した。
そのなか、被災地支援として、被災直後の2日、金沢市の法船寺(森岡達圭住職)では、救援物資の集積所として同寺を開放した。
防災士でもある森岡師が被災直後、道路事情により被災地との往来が困難な状況を鑑み、救援物資の一時保管所が必要と考え、同寺が拠点になると判断。フェイスブック等のSNSで、同寺で物資の一時保管をすることを発信。翌日から水や食料をはじめ、おむつ、生理用品等の生活必需品が、宗内のみならず、宗派を超えて多数寄せられた。同寺での物資の受け入れは、自治体が物資の受け入れを開始するまで対応し、同寺が受け入れた物資は、既に自治体が開設した避難所等に届けられている。
森岡師は「『自分にできることは何か』と思い、気付いたら行動していました。宗内関係者や団体をはじめ多くの方のご支援と、仕分けや配布にお手伝いいただいた近隣寺院に感謝しております。」と語る。
今回の地震で最も大きな被害が出ている石川教区の吉田隆一教区長(金沢市・如来寺住職)は「被災直後から、全国の宗内関係者から心温まるご支援やお言葉を頂戴しておりますこと感謝申し上げます」と謝辞を述べるとともに、震災に便乗した悪質犯罪(空き巣や置き引きなど)が確認されていることに触れ、「SNS等の不特定多数が閲覧することができる媒体に、被災寺院の写真が投稿されることで、本尊などの仏像や仏具が窃盗の被害に遭う可能性が高まっています。不特定多数の方が閲覧、あるいは拡散される恐れのある媒体に、被災された寺院の写真を投稿しないようにお願いしたい」と呼びかけている。
浄土宗では令和6年能登半島地震により被災された寺院並びに被災された皆様を支援するため、災害救援金を募集しております。詳しくはこちらをご参照ください。