浄土宗新聞

山中伸弥氏、サヘル・ローズ氏ら、幸せについて語る第7回法然フォーラム 開催 4/30広島アステールプラザ ・JMS

投稿日時

浄土宗(川中光敎宗務総長) は4月30日、令和6年(2024) に迎えた浄土宗開宗850年の慶讃事業 の一つ「浄土宗開宗850年記念法然フォーラム これからの幸せ」の第7回目を、広島市のJMSアステールプラザ大ホールで開催、約1170名が来場し、盛会となった。

これは開宗850年のキャッチコピー「お念佛からはじまる幸せ」をもとに紛争・疫病・自然災害が頻発し、世界の平和が揺らぐ中、「幸せとは何か」を問い、来場者と考えることを目的に企画したもの。第1部ではiPS細胞の作製技術を確立し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏による講演 、第2部では俳優のサヘル・ローズ氏、アーティストで浄土宗僧侶の西村宏堂(こうどう)師を招き、漫才師の笑い飯哲夫氏を司会進行、浄土宗総合研究所副所長の戸松義晴(ぎせい)師をコメンテーターに座談が行われた。

山中氏は、自身が医学研究に興味をもつきっかけとなった父親の病気について触れ、「目標に向かって仲間とがんばれば、たとえうまくいかなくてもそこから色々なことを学べる。『人間万事塞翁が馬』というのが私の幸せの原動力」と語った
山中氏は、自身が医学研究に興味をもつきっかけとなった父親の病気について触れ、「目標に向かって仲間とがんばれば、たとえうまくいかなくてもそこから色々なことを学べる。『人間万事塞翁が馬』というのが私の幸せの原動力」と語った



山中氏は講演の中で、難病の治療薬購入などに数億、数千万円かかる現状を述べ「私にとって幸せの定義は画期的な治療法を安価に提供すること。これは私たちにとって一番の課題であり成功でもある」と話した。

哲夫氏の〝幸せがたり〟と題した仏教談義を挟んで行われた座談の中でサヘル氏は、自身の生い立ちから、「日常の中に幸せは散りばめられているが、人は幸せよりも苦しみをかみしめてしまう。幸せを感じるには苦しみを理解することも必要」とした。

また、西村師は「私たちの思い描いてきた幸せの定義が賞味期限切れになってきている。現代は〝普通〟や〝常識〟は人の数だけ存在し、個々の心の喜びが幸せだと人々は気付いていると思う」と語った。

座談では、幸せは人それぞれにあるものであり、他者に押し付けるものではないとの意見もあった。
座談では、幸せは人それぞれにあるものであり、他者に押し付けるものではないとの意見もあった。


戸松師は座談の終わりに登壇者の話に触れつつ、「自分の幸せは自分で決めるもの。自分自身に微笑み、ありのままの自身を受け止めるところから幸せは始まるのではないか」と締めくくった。