浄土宗新聞

お釈迦さまに報恩感謝を捧げる 涅槃会

涅槃会で祀られる「涅槃図」(大本山増上寺提供)

涅槃会で祀られる「涅槃図」(大本山増上寺提供)

2月15日は、仏教を開かれたお釈迦さまの入滅(=亡くなること)された日とされ、各地の寺院ではお釈迦さまへの報恩感謝を捧げる「涅槃会」が営まれます。
お釈迦さまは29歳で出家し、35歳で「さとり」の境地を得られましたが、80歳で入滅したときをもって、身体的な「苦」からも脱し「完全なるさとり」、いわゆる「涅槃」に入られました。
涅槃とは、古代インドのサンスクリット語「ニルヴァーナ」の発音を漢字で表記した言葉。「ろうそくの火が吹き消された状態」のことを指し、そこから、「燃えさかる煩悩の火が吹き消された後の寂静な状態(=さとりの境地)」を意味しています。
一説には、お釈迦さまは、インドのクシナガラという地で、2本並んで生えた沙羅の樹(沙羅双樹)の間に設えた寝台に横たわり、頭を北に、顔を西に向け涅槃に入られたと伝わります。お釈迦さまの周囲には多くの弟子や人々、そしてさまざまな動物たちまで駆けつけ、涙にむせび悲しんだとされます。
涅槃会では、その様相を描いた絵図「涅槃図」やお釈迦さまのお像を祀ります。
「すべてのものは過ぎ去るものである。怠ることなく、私の教えを実践しなさい」これがお釈迦さまの最後の言葉(遺言)でした。
前半は、仏教の根幹となる教え「諸行無常」を指しており、これは「あらゆる物事は永遠に存在するものではなく、常に変化する」という意味です。
すべての物事が常に移り変わることをしっかりと見つめたならば、今の一瞬一瞬が二度とない大切な時間と思えるはずです。その大切な人生を仏教の教えや実践を通して正しく歩みなさいと示されているのです。
お釈迦さまは、さとりを得てから入滅する直前までの45年間、人々のために教えを説かれました。その教えは、インドから諸国に渡り、多くの人々から広く信仰されることとなりました。
「涅槃会」は、涅槃講や涅槃忌として、広く仏教各宗派の寺院で法要が勤められます。ぜひ参拝し、報恩感謝の念を捧げましょう。

お釈迦さまの入滅の地インド・クシナガラには、現在もお釈迦さまの涅槃像を祀る涅槃堂や、沙羅の樹が遺されている