浄土宗新聞

やりたいことが見つかるきっかけの場に 農園で悩みを抱える若者支援 静岡・法源寺

法源寺農園部「SOCIAL FARMING 青空」の様子。周囲は住宅地で、近隣住民からは「精がでますね」といった声が掛けられるという

法源寺農園部「SOCIAL FARMING 青空」の様子。周囲は住宅地で、近隣住民からは「精がでますね」といった声が掛けられるという

静岡県富士市の法源寺(=髙瀨裕功住職)が今春、「法源寺農園部」を設立、引きこもりや不登校の若者を「農園部」の一員として迎え入れ、家の外にでるきっかけや、人との交流の場づくりに取り組んでいる。
同県で活動するNPO法人・青少年就労支援ネットワーク静岡の相談窓口「ココ☆カラ」は、さまざまな事情で社会になじめず、生きづらさを抱える若者たちが外出するきっかけや交流の場を探していた。
同団体が以前から交流のあった同寺副住職・髙瀨顕功師に相談、髙瀨師は活用していなかった同寺所有の土地を使用して何かできないかと考え、農園を作ることを思いついたという。
農園は、さまざまな人たちが集えるようにと、部員たちで、「SOCIAL FARMING 青空」と名付け、SNSのグループで情報を共有しながら、不定期で月に2回ほど農作業に取り組んでいる。
部員たちは、慣れない農作業に悪戦苦闘しながらも、耕作や草刈りを続け、これまでにジャガイモやキュウリ、枝豆、サツマイモなどを栽培している。
開始当初、髙瀨師を含め4人で始まったが、現在、部員は8人となり、多い時には活動に5人前後が参加している。目に見えるカタチで成果を体験できることから、部員は日を追うごとに主体的に参加するようになった。なかには、活動日以外にも、草刈りをしに来る部員や、新たにやりたいことが見つかったと話す部員もいるという。
収穫した野菜は参加者で分け合うほか、地域住民や同寺檀信徒にもお裾分けしている。活動を知った人からは農作業の指導や機具の貸し出しの申し出があったほか、応援の声が寄せられ、活動の励みになっている。
髙瀨師は、「私自身、農業の知識や経験はなく、参加者とは″教える 教わる〟の関係ではなく、″一緒に悩み、考え、成長していく〟という関係になっています。活動を通じて、やりたいことが見つかるきっかけの場となれば」と語る。

活動の様子。参加者は苗を植えている