大本山金戒光明寺 久米慶勝台下 晋山式 厳修
練り行列の途中、山門前で行われた開門式の様子。「広開浄土(広く浄土門を開かんとの意)」の発声に合わせて山門の扉が開かれ、久米台下はゆっくりと御影堂へ進まれた
境内のソメイヨシノの蕾も膨らみ、暖かな日差しから春の訪れが感じられる大本山金戒光明寺で3月10日、同寺第75世・久米慶勝台下の晋山式が荘厳かつ盛大に営まれ、山内にお念仏の声が響き渡った。
金戒光明寺(京都市左京区)は、浄土宗の大本山の一つ。法然上人がお念仏の教えを広めるため、比叡山から下りて初めて草庵を結ばれた地に建つ。上人が初めて布教されたことにちなみ、後小松天皇から賜った「浄土真宗最初門※」の勅額が残る。幕末には京都守護職会津藩の本陣となり、新選組ゆかりの寺院としても知られる。
久米台下は昭和16年生まれの79歳。総本山知恩院布教師会会長(現・顧問)や、浄土宗宗議会議員を歴任し、令和元年7月に金戒光明寺法主に就任。昨年3月に晋山式を営む予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大もあり延期していた。
晋山式とは、新たに任命された住職が、住職として初めてそのお寺に入ることを記念して営まれる法要のことで、「晋」は進む、「山」は寺院を意味する。
式は、梵鐘の音を合図に練り行列から始まり、山内寺院の浄源院から出発。色鮮やかな袈裟と僧衣を纏った久米台下を中心とした僧侶らは、雅楽による奉楽も加えて、厳かに御影堂へと進んだ。
久米台下は法然上人を(本尊として)祀る御影堂に昇殿、中央の高座へと進まれ、堂内正面の法然上人御影(お像)に深く礼拝し、その後に読経が始まった。久米台下は法要のなかで、表白(法要の趣旨を綴った文章)を読み上げ、晋山の報告と寺門興隆を法然上人や歴代住職に対して誓われた。久米台下から参列者に十念が授与され、堂内にはお念仏の声が響き渡った。
台下は、法要後の挨拶で、「浄土宗の教えは、阿弥陀さまに“南無する”教え。南無には帰依する、任せるという意味があり、この“南無の心”を伝えられるようなお寺にしたい」とその決意を語られた。
式には、浄土門主・総本山知恩院門跡伊藤唯眞猊下をはじめ、大本山百萬遍知恩寺福原隆善台下、川中光敎宗務総長ほか、本山修験宗総本山聖護院・宮城泰年門跡、天台宗真正極楽寺・奥村慶淳貫主など宗内外の要職者を来賓に迎え、金戒光明寺檀信徒、久米台下が住職を務められた昌善寺(滋賀県東近江市)檀信徒など、約250名以上が参列し、晋山の喜びを分かち合った。
※「浄土教の真実の教えを最初に説いた」との意で、宗派の浄土真宗とは異なる