浄土宗新聞

熊本地震と九州北部豪雨の物故者を追悼 熊本教区 熊本地震七回忌 厳修 阿蘇・道智寺 4月15日

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熊本地震の発生から6年となった4月15日。熊本教区(三宅晃洋教区長)は「平成28年熊本地震物故者七回忌法要」を阿蘇市の道智寺(坂田恭二住職)で厳修した。

会場となった道智寺のある阿蘇市内牧地区は、熊本地震で震度6弱を観測。同市のシンボルである阿蘇神社の楼門や拝殿が倒壊するなど、同地区は甚大な被害を受けた。また、平成24年の九州北部豪雨でも水害を受けており、同寺の本堂が床上浸水となるなど、同地区は2回も天災の被害を受けていた。
 そこで七回忌法要は同地区に所在する道智寺を会所に営まれ、併せて九州北部豪雨の物故者の回向も行われた。法要は三宅教区長を導師に、山本幸典教化団長、山城亮善教区議会議長を脇導師、式衆を教区浄土宗青年会員らが勤め、教区役職者、道智寺総代など約30名が参列した。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、檀信徒の出席は同寺総代ら役員のみとし、参加を希望する教区寺院や檀信徒には、法要の様子を動画で後日、配信する予定。
 法要後、三宅教区長は「自然災害のような外的な要因で命が無くなることは大変無念です。このようなことが、極力少なくなることを願います」と参列者に語りかけ、締めくくりには地震と豪雨の物故者の追善、支援者への感謝、災害や戦争で命を落とすことがないように願いを込めて、参列者ともどもに十念をおとなえした。
 会所となった同寺の坂田住職は、「豪雨の被災直後はお盆の直前で、打ちひしがれていたところ、多くの方が駆けつけ、支援してくださったことを今でも覚えております」と前置きしたうえで、「地震の時も大きな揺れでしたが、助けてくれる浄土宗の仲間がいることを思い出し、どこか安心した私がいました。そして自分も、もっと被害にあったご寺院をお助けしなければならないと思いました」と挨拶し、被災時の心境を打ち明けた。
 教区檀信徒を代表して法要に参列した同寺総代会長の田上修二さんは「私も熊本地震や九州北部豪雨で被災しました。新型コロナウイルスの第7波が流行の兆しを見せるなか、地震や豪雨の物故者のためにお念仏をとなえ、法要を営めたことは良かった」と感慨深く語った。

「平成28年熊本地震物故者諸精霊七回忌追善菩提」と書かれた塔婆を御香に薫じ、回向する三宅教区長(中央)、本尊前には、熊本地震の物故者を祀る黒塗りの位牌も安置されている
「平成28年熊本地震物故者諸精霊七回忌追善菩提」と書かれた塔婆を御香に薫じ、回向する三宅教区長(中央)、本尊前には、熊本地震の物故者を祀る黒塗りの位牌も安置されている
法要挨拶で、坂田住職はこれまでの支援に感謝を述べた
法要挨拶で、坂田住職はこれまでの支援に感謝を述べた