お寺の子どもの ひと夏 宗門子弟教養講座 総本山知恩院 7/27~29
浄土宗では、お寺の子弟を対象に、仏教の教えや作法など、基礎的な教養を身につけてもらうために「宗門子弟教養講座」を開催している。そうしたなか、総本山知恩院(京都)を会場に開かれた講座に参加したお寺の子どもたちの様子を紹介したい。
7月27日、知恩院の受付に、「よろしくお願いします!!」と元気なあいさつが響いた。3日間の講座に参加したのは全国各地の浄土宗寺院から集まった小学6年生から高校3年生までの男女14名。
開講式を終え、早速に佛教大学で法式(勤行などの作法全般)を指導する森田康友師(奈良・興善寺住職)による法式講座が行われた。
まずは基礎中の基礎である足袋、白衣、道衣(略式の衣)などの僧衣の着脱から。悪戦苦闘しながらも、白衣の正しい着方や足袋の履き方まで一つひとつの意味や作法を細かく学んだ。
勤行の実践指導では、法要の主役となる「導師」や、鐘や木魚などを用いて、法要を先導する「維那」などそれぞれに配役を決め、法要を勤めた。
最初は気恥ずかしさからか、またはじめてお経を唱える参加者もおり、ぎこちない法要に。しかし、森田師の懇切丁寧な指導もあって、最終日には、鐘の音とともに、若さあふれるお経が堂内に響いた。
また、安永宏史師(福岡・生往寺住職)による「宗門子弟の心構え」「釈尊の教え」「法然上人の教え」と題して開かれた講座では、お寺や仏教の教えを分かりやすく説明する安永師に、子どもたちは積極的に質問する光景が見られた。
さらに、髙橋司氏(佛教大学名誉教授)によるパネルシアター講座では、楽しみながら、仏教や浄土宗のみ教えを学んでいた。
最終日には、子どもたちの顔も、しっかりとお坊さん顔に。3日間の修行の成果は一目でわかるほどに現れていた。閉講式を終え、参加した子どもたちの感想文には、「住職の父の勧めで参加しましたが、来年から大正大学に入学し僧侶になりたいと考えていたので、良い機会になりました」(高3)や「お寺での生活や勤行などを正しく学べる機会だと思い参加しました。今回は、女子の参加者は一人だけで心配でしたが、楽しく過ごすことができました」(中3)との感想が記されていた。
このひと夏を経て、彼らの僧侶への第一歩が始まったようだ。