浄土宗新聞

四年ぶりの盛事 善導寺 開山忌

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庭儀式の様子。聖光上人をのせた御輿は、雅楽の音色とともに桜が咲き誇る参道を、僧侶、稚児らと練り歩いた(写真提供:大本山善導寺)

3月27日から30日の4日間、福岡県久留米市の大本山善導寺(阿川文正法主)が、同寺開山で浄土宗第二祖・聖光上人(1162‐1238)のご遺徳を讃える開山忌(かいさんき)大法要を営んだ。
聖光上人は現在の福岡県で生まれ、比叡山で天台教学を学んだが、法然上人に出会ってその教えに深く感銘を受け、生まれ故郷である九州から法然上人の居る京都へたびたび出向いて弟子となり、多くの弟子の中から、その教えを受け継がれた。後に、九州各地に善導寺をはじめとする多くの寺院を建立して教えを広めた。
善導寺は、九州最大の河川である筑後川のほとりに伽藍を構える古刹で、九州における浄土宗の拠点として位置付けられている。
聖光上人のご命日が旧暦2月29日だったことから、毎年、ひと月遅れとなる3月下旬のこの時期に開山忌を勤めてきた。近年はコロナ禍により、参詣者を制限し、法要の規模を縮小をしながら営んできたが、4年ぶりにコロナ禍以前の規模で営まれた。
初日である27日は、阿川法主を導師に、開白法要を営んだのに続き、本堂に祀られている聖光上人像を御輿に乗せ、参道へと担ぎ出し、薬師堂までの約300メートルを練り歩く庭儀式が行われた。その間、数回にわたって多くの参詣者が御輿の下をくぐり抜け、無病息災を祈った。行列には雅な装束をまとった稚児が参加し、一層にぎやかさを増していた。
27、28日に営まれた日中(にっちゅう)・逮夜(たいや)法要には多くの僧侶や檀信徒が参列し、堂内にはお念仏の声が響き渡った。28日午後には薬師堂で一夜を過ごされた聖光上人像を、今度は本堂へとお戻しした。さらにこの日は、「正派雅会」による筝曲の奉納もなされた。同寺は筝曲発祥の地としても知られ、多くの参詣者たちの耳を楽しませていた。
29、30日は九州地区吉水講70周年記念詠唱大会が営まれた。例年、29日だけに開催していたが、本年は70周年を記念し、2日間に伸ばして開催した。
4日間にわたる開山忌は、全日晴天に恵まれ幕を閉じ、最終日の結願(けちがん)法要で阿川法主は、「コロナ禍で参詣者なしで勤めてまいりましたが、本年は皆さまをお迎えすることができ、大変喜ばしく思っております」と述べられた。

日中法要の様子。期間中、参詣者1500人、僧侶400人が参列し、二祖・聖光上人の遺徳を讃えた(写真提供:大本山善導寺)