浄土宗新聞

令和5年度 助成金交付式 活動報告・意見交換会 浄土宗ともいき財団

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(公財)浄土宗ともいき財団(佐藤行雄理事長)が寺院・僧侶の公益性のある取り組みを支援する助成事業の、令和5年度助成金交付式と4年度活動報告・意見交換会が3月29日、東京都港区のホテルで行われ、全国からの参加者が熱心に交流した。

今岡委員長から通知書を受ける助成対象者

地域社会をより良くするための福祉や教育、防災など様々な分野での寺院の活動を後押しするこの事業は、当初の平成29年度から今回まで延べ372件の活動に累計9280万円余りを助成、各地での着実な働きが寺院の存在感を高める大きな成果を生んでいる。
今年度助成が決まったのは、北海道から熊本まで計55の寺院や活動団体。式典では今岡達雄審査委員長が「発足以来、SDGsなどにも活動の幅が広がり、社会貢献事業が増えた。コロナ禍など困難もあるが、5年を超える継続助成も新設したのでがんばってほしい」と講評、出席した47の寺院や団体の代表一人ひとりに助成通知書を手渡した。
活動報告ではまず、大阪教区願生寺住職の大河内大博師が「寺院を活用した医療的ケア児等の防災プログラムと災害時支援体制づくり」として、緊急時に一般避難所に行けない重度障がい児らを寺で一時受け入れするユニークなプロジェクトを防災専門家や町内会など地域社会の人たちと協力して進めている経緯を詳述。加えて地元での介護者カフェや医療支援、寺子屋やグリーフケア活動など幅広い取り組みを通じて、寺院が「地域と出会う大きな資源」であると強調した。
山口教区勝榮寺(しょうえいじ)住職の原田宗隆師と山形教区浄光寺寺庭の萩生田充知子氏はそれぞれ自坊での「子ども食堂」について報告。原田師は、貧困対策から始めて学校と家庭の間にある〝居場所〟としての役割を重視し、フードバンクなどとの連携も呼びかけた。いずれもが地域の交流の場、拠り所としての寺の機能を取り戻すことの大事さを訴えていた。
続いて、グループ作りのマネジメントを専門にするNPO「CRファクトリー」理事の阿部剛氏が「現代社会での縁と活動」「新しい仲間の巻き込み方」をテーマとして講義と意見交換を実施。聴講者が互いに意見を交換する時間がたっぷり取られ、人材確保や資金問題、コロナ対策や広報の方法など身近な課題で経験を分かち合っていた。
出席者からは今回の開催を通じ広範な社会活動の重要性という共通認識が深まり、相互の情報交換やネットワーク作りに向けて、今回のような場を続けてほしいとの声が多く上がった。
(ジャーナリスト 北村敏泰)