浄土宗新聞

函館を代表する老舗洋食店 旅の思い出を育む店づくり 五島軒

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「明治の洋食&カレーセット」(3,850円)は、カニクリームコロッケ、エビフライ、ビーフシチューといった五島軒の定番洋食の盛り合わせ。イギリス風カレー(ビーフ)または明治のカレー(ポーク)から選択可

 港町の風情と異国文化が調和する函館。国内外の観光客を魅了するこの街へ、潮の香りに誘われて訪れた。
 函館山の麓に広がる十字街エリアは、八幡坂、函館ハリストス正教会など、観光名所が集まる人気スポットである。そこに佇むのは、白く洗練された洋館。老舗洋食店「五島軒」だ。
 名前に聞き覚えがある方も多いだろう。創業は1879年。北海道開拓使ゆかりの料理人・若山惣太郎が礎を築き、文明開化の味を今に伝える老舗である。中に入ると、古時計や古地図など、往時を感じさせる調度品がずらり。料理を待つひとときも、当地の歴史に思いを馳せる時間となる。
 地元の人にとって、五島軒は少し特別な場所だ。祝い事や法事はもちろん、結婚式を挙げたという年配の方も多く、人生の節目を彩ってきた。
 一方、近年では若い世代も全国から足を運ぶ。「最近では、アニメ作品などとのコラボレーションにも積極的に取り組んでおりそれをきっかけに、アクリルスタンドを片手に『やっと来られた』と来店されるお客さまも増えました」と話すのは、本店営業部の大谷望さんと國安夏々美さんだ。140年以上の歴史を守りながらも、新しい試みを続けてきた。店内では、親子3代の常連客も、初めて訪れる観光客も、それぞれ楽しい表情を見せる。
 メニューには、エビフライやビーフシチューなど、洋食の定番が並ぶ。看板の「イギリス風カレー」は、牛スネ肉や牛骨、丸鶏、野菜などを6時間以上かけて煮出したブイヨンスープがベース。ひと口いただくと、肉や野菜のうまみが重なり合い、とてもまろやか。口当たりも優しく、じわりと深いコクが広がる。
 「函館に来たら当店に立ち寄るという方も多いです。店で過ごす時間が、函館の思い出を左右するかもしれません。一人でも多くの方に、函館に来てよかったと思って帰っていただけたら嬉しいですね」と大谷さん。
 笑顔で送り出される頃には、この店が人々の思い出に残る理由が、少し分かったような気がした。
(ライター:岡本茉衣)

十字街の本店のほか、函館カレーEXPRESS 五稜郭タワー店、新千歳空港店も構える
  • 〒040-0053 北海道函館市末広町4-5(本店)
  •  0138-23-1106(代表)
  • 営業時間=11時30分~14時30分(LO) 17時~20時(LO)
  • 定休日=火曜日(一部期間除く)1月1日・2日
  • 函館市電「十字街駅」から徒歩6分
  • ■駐車場(20台)あり
  •  ※価格は税込