浄土宗新聞

名古屋みやげの大定番! 390余年の暖簾を支える菓子 両口屋是清

投稿日時
名古屋土産はもちろん、祝い事やご挨拶にも親しまれている「旅まくら(10個入り・907円)」。黒ごまが香ばしく、味のアクセントになっている

出張やレジャーの人で行き交う、中部圏最大のターミナル・名古屋駅。構内には数多くの土産物店が並び、名古屋らしい一品を探す人でにぎわう。その候補に挙がるのが、「両口屋是清」の菓子だ。「千なり」「銘菓詰め合わせ」と聞けば、あの包装や味を思い出す方もいるのではないか。
 その歴史は、寛永11年(1634)まで遡る。那古野本町で創業し尾張藩の御菓子御用をつとめ、二代藩主・徳川光友公から表看板を受けた。城下町に根を下ろし、当地の暮らしとともに歩んできた老舗である。
「名古屋で和菓子が広まった背景には、茶の湯の文化があります」と話すのは、両口屋是清12代目当主の大島喜十郎さん。江戸時代には商人や文化人の間で茶道が流行し、京都から家元を招くこともあったという。町人文化が栄えて菓子の技法が発展し、両口屋是清にも甘味を求めて多くの客が訪れた。
 1945年に戦災で店舗・蔵を焼失したが、2年後に焼け跡へ工場を建て、百貨店への出店も開始。戦後復興の中で、次々に銘菓を送り出していく。
 1950年の愛知国体の際には、名古屋をご来臨された昭和天皇・皇后両陛下へ供する菓子が求められた。
 そこで生まれたのが「旅まくら」である。旅先でも手に取りやすい小ぶりな姿に仕上げ、両陛下に献上された。北海道産小豆を使ったあんは、しっとりとなめらかな口当たり。上品な甘みを薄皮が包み、添えられた黒ごまがふんわりと香る。ついもう一つ、と手に取ってしまう。
 長い歴史に頼るだけでは、老舗の味は続かない。両口屋是清は、茶席向きの生菓子と土産にしやすい品の両方をそろえ、若い世代も入りやすい店づくりにも力を注いできた。「今は健康志向で甘さ控えめが好まれます。現代の感覚と和菓子のおいしさのバランスをどう考えるか、そこが肝心です」と大島さん。
 その一言に、受け継いだ伝統を今の好みに重ねていく難しさがにじむ。暖簾を支えてきたのは、時代をとらえて味を届ける工夫そのものに違いない。
(ライター:岡本茉衣)

東山店の店づくりにも携わった大島さん。設計は建築家の隈研吾氏に依頼した
  • 〒464-0807 愛知県名古屋市千種区東山通4-4-1(東山店)
  •  TEL:052-782-1115
  • 営業時間=9時~18時 喫茶:12時~17時(L.O.16時30分)
  • 定休日=木曜日
  • 地下鉄東山線「東山公園駅」から徒歩2分
  • ■駐車場(3台)あり
  •  ■通販あり(こちらから)※価格は税込