浄土宗新聞

【浄土宗の読む法話】独りでいても一人じゃない生き方

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旧暦2月15日、お釈迦さまは80歳でご入滅されました。35歳でお覚りになってから45年にわたり教えを説いてくださいました。お釈迦さまは当初、お覚りになったものを他の人に説いて伝え教えることをためらわれていました。そもそも言葉で言いあらわすのが難しいのに、説いても伝わらないだろうと思われたからです。しかし梵天さまの三度にわたる願いを聞き入れて説きはじめてくださいました。お釈迦さまが語ってくださったお言葉は、聴き手に合わせてお選びになったものだったので、たくさんの教えとなって今に伝わっています。

たくさんの教えの中から法然さまが最も自分に相応しいとされたものが、南無阿弥陀佛のお念佛を申して生きていくことです。「阿弥陀という仏さまがいらっしゃること。その仏さまが西方の極楽浄土にいらっしゃること。南無阿弥陀佛とお名前を呼べば応えてくださること。臨終にはお迎えに来てくださること。そして極楽往生を遂げさせていただけること。すべては南無阿弥陀佛と申して生きていくことでかなう」と法然さまはおっしゃいました。南無阿弥陀佛のお念佛を申す生き方は、人を選びません。老若男女も問いません。誰でも実践できます。だからこそ、法然さま自身が自分に相応しいとされたのです。

今この瞬間を生きることで一杯いっぱいなのに臨終とか死とか先のことなど考えられないし考えたくもない、かも知れません。まだ縁もゆかりもないと思われるかも知れません。
でも、いま生きている私たちにも、とても関係のあることなのです。

法然さまは「お念佛を申して生きていく人は常に阿弥陀さまが護ってくださる」とおっしゃいました。いつ訪れるのかわからない命を終える瞬間まで、常にずっとそばに寄り添って護ってくださるのですよ、と。常に寄り添っていてくださるからこそ、臨終の間際という一大事にも寄り添っていてくださるのです。だから独りでいても一人じゃないのです。お念佛を申している人は常に阿弥陀さまと一緒なのです。

法然さま一押しの、南無阿弥陀佛のお念佛を申して生きるということを続けていくうちに、阿弥陀さまを感じる瞬間があるかも知れません。どうかなぁ?と思う前に、まず試してみてください。

至心合掌

広島教区 西部組 妙慶院 加用雅信