浄土宗新聞

【お坊さんエッセイ】心と体に風を吹かせて

投稿日時
【お坊さんエッセイ】心と体に風をふかせて

副住職をしながらお寺ヨガインストラクターをしているのですが、全ての催しが中止になり生活が大きく変化しました。1歳の娘と先が見えない在宅中心の日々の中、不安やストレスで呼吸が浅くなり、これまでにない運動不足を感じました。そしてやたらと、小麦粉と砂糖のお菓子や、芋と油のお菓子を欲し、あっという間に体型が変わってしまいました。また深夜のネットサーフィンで寝つきが悪く熟睡できない。更には肩こりや腰痛の症状までもが容赦なく襲い掛かり、仕事復帰に支障が出てしまうのではと、弱い自分に焦りと反省の日々でした。

このままではいけないと自宅にヨガマットを敷き、不要なものを蓄えてしまった身体をお掃除するように少しずつ身体を動かし始めました。また、新たな試みでしたがオンラインクラスをスタートさせ、画面越しですが、いつもの生徒さんと久しぶりに一緒にヨガができて、やっと調子を取り戻してきました。身体を大きくストレッチさせると血の巡りが良くなり、呼吸が深まって気分もリフレッシュします。改めて身体を動かすことの大切さを思い出すことができました。


適度な運動、中でもヨガは、筋力を養うだけでなく、免疫力を高め、ストレスを緩和することから、様々な疾患に効果があると実証されており、現在では医療機関でも多く取り入れられています。
日々の不摂生で溜まってしまった毒素や老廃物を洗い流す――。
安定した呼吸で自律神経を整え、心のモヤモヤもクリアになる――。
1時間ほどヨガをすれば気持ちが軽やかになり浄化されていきます。

The body is your temple. Keep it pure and clean, for the soul reside in.
(身体はあなたの寺院である。魂を宿すために、純粋で清澄に保ちなさい)

B.K.S.Iyengar

これは現代のヨガに大きな影響を与えたインドのヨガ行者、B.K.S.アイアンガー(1948-2014)の言葉です。

お寺は祈りの場として大切に管理され、守られている特別な場所。3年前に亡くなった祖母が、「一にお掃除、二に掃除、三四がなくて五に掃除」という口癖と共に、四六時中境内を磨き上げていたのを思い出します。

仏教においてもヨガにおいても、清浄を保つことは大切な教えの一つです。
どんな状況であろうとも、私達のこの心と体が、お寺のように掃除がいきわたり、風通しがよく、いつも平和で静寂な場所でありたいと願っています。

娘も少しずつですが、自分で遊んだ玩具のお片付けができるようになってきました。自ら喜んでお掃除にも取り組めるようになって欲しいなぁと思うこの頃です。

(2020年7月13日 ガッソ有香 / 浄土宗僧侶・ヨガインストラクター)