浄土宗新聞

現代版「笠地蔵」 年末に子どもたちへ食料届ける

NPOホットライン信州の青木正照専務理事(中央左)、子どもスタッフ(中央右)と同団体からの感謝状を持つ荻須真尚副住職(右端)

NPOホットライン信州の青木正照専務理事(中央左)、子どもスタッフ(中央右)と同団体からの感謝状を持つ荻須真尚副住職(右端)

長野県松本市の玄向寺(=荻須眞教住職)では、令和2年から「笠地蔵プロジェクト」として、年末に支援を必要としている家庭の子どもたちへ食料品を届ける活動をしている。
これは同寺副住職の荻須真尚師が、コロナ禍の影響で困窮する家庭が急増していることを受け、何かできることがないかと思案し、企画したもの。「昔話の笠地蔵にならい、長期休暇で給食がなくなる年末に食料を届け、子どもたちに少しでも安らかにお正月を迎えてほしい」という思いから、「笠地蔵プロジェクト」と名付けた。
当初は荻須師一人で始めた活動であったが、同寺檀信徒や地域住民を中心に口コミで広がり、遠方からも協力の申し出があるなど、支援の輪が広がっているという。
同プロジェクト2年目となった昨年は、11月20日から食料品提供の協力を呼び掛けたところ、米750キロ以上、大根800本以上、キャベツ200玉、白菜50玉以上、ドーナツ600個など、大きな善意が寄せられた。
12月2日、集まった食料品や寄付金の贈呈式が同寺で行われ、県内の各地で子ども食堂などを運営する特定非営利活動法人NPOホットライン信州に寄贈された。
これらの食料品は、同団体が12月25日と31日に開催した子ども食堂での無料食品配布や炊き出しなどに活用された。両日合わせて子ども184名を含む362名が訪れ、食材を手にした人からは笑顔がこぼれた。
荻須師は「コロナ終息は現実的にはまだ厳しい。食べ物の配布によって、未来を見て、元気を出して生きていただけるよう支援を継続していきたい」と語った。
今後は春休みや夏休みなどの長期休暇前にも支援ができるように体制を整えていくという。

玄向寺に寄付された米や野菜の一部
玄向寺に寄付された米や野菜の一部