地域と寺院の縁 深める機会に 国重文 運慶仏をVR化
VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)で仏像参拝などを体験できる取り組みが、神奈川県横須賀市の浄楽寺(土川妙真住職)で始まり注目を集めている。
これは、一般社団法人BUSHIDO文化協会(土川憲弥代表理事)が企画したもの。同協会は鎌倉時代から幕末の歴史や武士道文化が色濃く残る三浦半島の魅力発信のため、浄楽寺副住職でもある土川憲弥師が中心となり、今年4月に設立。
協会内で発信方法について検討するなか、若い人や外国人にもVRを通じて、三浦半島に興味を持ってもらう本企画が上がり、浄楽寺が所蔵する鎌倉時代の仏師・運慶作の仏像5体(阿弥陀三尊、毘沙門天、不動明王。いずれも国重文)を3DVR化した。制作にあたり、極楽浄土の考証や、仏教用語をわかりやすく伝えることを重要視したという。
浄楽寺は5種の歴史追体験を提供しており、なかでもVRゴーグルを用いて行う「バーチャル運慶発願体験」は、運慶が心月輪(仏の魂)を仏像の体内に納めることで、仏像に魂を吹き込んだという逸話から、自らの願いを込めた心月輪をバーチャル空間で制作し、仮想空間の仏に願いを伝えるものとなっている。
参加者は、ゴーグルを装着し、仮想空間に現れた運慶仏を拝観するとともに願いごとを伝えた。VR体験後は、実物を拝観でき、参加者からは、仏教に対して興味や理解が深まったなどの声が聞かれたという。
土川代表理事は、「三浦半島の魅力をより多くの人に知ってもらうとともに、寺院と縁のなかった人とのつながりをつくることも一つの目的です。この企画を通じて、より多くの人が寺院に足を運ぶきっかけにもなれば」と期待を述べた。
各体験有料。申し込みは同寺HP(下記QRコード)から。