浄土宗新聞

日・豪をつなぐ活動を評価  ウィルソン哲雄師 在外交館長表彰受賞

ウィルソン師(左)と田中総領事(右)

ウィルソン師(左)と田中総領事(右)

オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンにある阿弥陀寺のジェイムス・ウィルソン哲雄主事が、在ブリスベン日本国総領事館(田中一成総領事)から2020年度在外公館長表彰を受賞した。
この賞は、日本と諸外国との相互理解および友好親善の促進に寄与した個人または団体に贈られるもの。

オーストラリア生まれのウィルソン師は、大学時代に交換留学生として来日し、卒業後は日本で教師として教壇に立つ傍ら、浄土宗の僧侶資格を取得。帰国後も法然上人のみ教えを広めたいとの思いから自宅を改装し、2004年に阿弥陀寺を開山。同寺を起点とした布教活動の他、毎年同国各所にある日本人墓地での慰霊法要や東日本大震災慰霊法要など、オーストラリアの有志者とともに日本人の心に寄り添う活動を継続してきた。
さらに、明治から戦前に多くの日本人が真珠採取に従事した木曜島では、潜水病や不慮の事故で命を落とした人々が眠る750基あまりの日本人墓地の荒廃が進む中、これらを修繕する事業に参加。風雨にさらされ傷んだ墓標約450本のうち、すでに300本以上を修繕した。
このような日本とオーストラリアをつなぐ活動が、両国の相互理解と友情の深化に貢献したと評価され、今回の受賞に至った。
6月25日に在ブリスベン日本国総領事館で開催された授賞式で、ウィルソン師は「今回の受賞は、阿弥陀寺のメンバーをはじめ、多くの人が私の布教活動を支えてくれていることに気付かせてくれました」と謝辞を述べ、「支援してくれる人がいることを念頭に置き、自分の能力を最大限に発揮して布教活動に努めたい」と決意を新たにした。

木曜島での慰霊法要の様子
木曜島での慰霊法要の様子