浄土宗新聞

七年に一度の盛儀 善光寺 御開帳

前回2015年の中日庭儀大法要(浄土宗)の様子。期間中、約707万人の参拝者で賑わいを見せた(写真提供:善光寺)

前回2015年の中日庭儀大法要(浄土宗)の様子。期間中、約707万人の参拝者で賑わいを見せた(写真提供:善光寺)

「牛に引かれて善光寺参り」で知られる信州善光寺(長野県)。浄土宗大本山善光寺大本願と天台宗大本山善光寺大勧進の二宗派の大本山によって護られています。
その御本尊「一光三尊阿弥陀如来」の御身代わり「前立本尊」の御開帳が、4月3日(日)から6月29日(水)まで、さまざまな盛儀が営まれます。
『善光寺縁起』によれば、一光三尊阿弥陀如来は、インドから朝鮮半島へ渡り、欽明天皇13年(552)、仏教伝来の折りに百済から日本へ伝えられた日本最古の仏像とされます。
信濃国司の従者として都に上った本田善光と出合い、今の長野県飯田市でお祀りされ、後に皇極天皇元年(642)に、現在の地に遷座されました。同3年(644)には勅願により伽藍が造営され、本田善光の名から「善光寺」と名付けられました。
やがて江戸時代になり泰平の世が続くと、「一生に一度は善光寺参り」と多くの人々が参拝するようになりました。阿弥陀如来は、念仏をとなえて一心に祈る者は性別・身分を問わず、誰であっても極楽浄土に導いてくださると、一貫して無差別平等の救済を説く寺院として知られていたため、女性の参拝者が多いことが善光寺参りの特徴でした。
多くの人々から尊崇を集めた「一光三尊阿弥陀如来」は、絶対秘仏で、誰しもが直接拝むことができません。
しかし、七年に一度の御開帳の時にだけ、その秘仏の前に安置される前立本尊(本尊の身代わりとなる同じ姿をした仏さま)の扉が開かれます。御開帳の期間には、前立本尊の指先から善の綱が本堂前に建てられた回向柱に結ばれ、柱に触れることで本尊とご縁を結ぶことができるのです。
今もなお、新型コロナウイルスに対する不安や心配がありますが、善光寺では、期間を通常57日間から88日間に延長し、回向柱に光触媒コーティングを施し、ウイルス対策を行うなど、感染対策に努めて開催します。
この時期の長野は、ちょうど花が美しく舞い散り、参拝するのによい季節。善光寺にお参りし、仏さまとのご縁を結びませんか。

前回の中日庭儀大法要で導師を勤める善光寺大本願法主・鷹司誓玉台下(写真提供:善光寺)