浄土宗新聞

能楽を通じ 地域や仏教を感じる場に 能楽堂「三蔵」建立 奈良・九品寺

「高砂」を演じる能楽師たち

「高砂」を演じる能楽師たち

奈良県御所市の九品寺(清水良彦住職)では、境内に能楽堂「三蔵」を建立。地域の話題を集めている。
 「三蔵」とは、お釈迦さまの教えである「経」、仏教教団の規則である「律」、教義の綱要書である「論」を総称した呼び名のことで、仏教の教えを基盤にして、胸躍らせ心響かせる癒やしの場となるよう願いを込めて、能楽堂を「三蔵」と名付けたという。
 2月26日には檀信徒約40名が参加して「舞台披キの会」が開かれ、観世流シテ方・山本博通氏、大倉流大鼓方・山本寿弥氏、金春流太鼓方・中田弘美氏、幸流小鼓方・成田奏氏、森田流笛方・斉藤敦氏らが出演し、演目「高砂」を奉納した。
 参加者たちは、美しい装束、和楽器の音色など、能楽師による独特の世界観に見入っていた。当日参加した同寺檀信徒の北村裕子さんは、「なかなか見ることができない能をお寺で見ることができて感動しました」と感想を話す。
 清水住職は、「能楽には、来世への希望を与えてくれる仏教的な感動があります。当地は、有名な演目『葛城』や『土蜘蛛』などゆかりが深く、能楽を通じ地域に思いをはせることで、歴史や仏教的精神を感じてほしい」と語る。