浄土宗新聞

浄土宗平和協会 反省と教訓から平和を考える 浄土宗平和誓願の集い ー東北地区大会ー

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法然上人のみ教えをもとに『世界平和への貢献』を課題に活動する浄土宗平和協会(廣瀬卓爾理事長)は6月24日、「浄土宗平和誓願の集い―東北地区大会―」を、仙台市若林区の愚鈍院(中村瑞貴住職)で開催した。
これは、昨年設立30周年を迎えた同会が、令和6年に迎える浄土宗開宗850年慶讃事業の一環として、全国8カ所で実施するもの。
世界平和の実現に向けての意識の高揚を図り、深淵を拡げることを目的とし、今年がその第一回目となる。

法要中、参列者たちは平和に想いを馳せながら、手をあわせ十念を となえていた
法要中、参列者たちは平和に想いを馳せながら、手をあわせ十念を となえていた

当日は、川中光敎宗務総長を導師に、中村瑞貴宮城教区長、眞賀部道賢同教区教化団長が脇導師、同教区青年会僧侶が式衆を務め、浄土宗平和協会会員や、東北地区の6教区の役職者、同教区の檀信徒らが参列、オンラインでの視聴者も含め約 80名が法要に参加した。
法要中、川中総長は、宣疏(仏前で法要の意趣を述べる文)で、日本が世界で唯一の被爆国であることを引き合いに、「我国こそ世界平和の先導者となるべく、浄土宗は宗祖法然上人のお念仏のみ教えの心を体し、『無量寿経』中「兵戈無用(ひょうがむゆう= 『武力を用いない』の意) 」の教えを恒久的に尊厳し、過去の戦争の反省と教訓を以て、益々浄業の策修を励まんとす」と読み上げ、ロシアによるウクライナ侵攻や、コロナ禍の終息が一日も早く訪れることを祈念した。
法要後、川中総長は、850年間、法然上人があらゆる人びとが救われるという願いをもってお念仏の教えを広めたことに触れ、「現代には『今だけ』『金だけ』『自分だけ』の3だけ主義という、自分さえよければいいという風潮がはびこっています。みんなが仲良く、平和に過ごすことを広める契機として、この集いが続いてくれたら嬉しい」と挨拶。また廣瀬理事長は「過去に我が教団では、僧侶が武器を手に取り、また檀信徒を戦地へ送り出してしまった歴史があります。法要のなかの宣疏で読み上げられたように、 『反省と教訓』をもって、平和を真剣に考える機会にしていきたい」と述べた。

記念講演では戦時中の人びとの思いや各教団との関わりが取り上げられた
記念講演では戦時中の人びとの思いや各教団との関わりが取り上げられた

そのほか、各寺院から提供された戦時資料のパネル展示や、 「東北の近代と戦争」と題した、佛教大学原田敬一(けいいち)教授による記念講演なども行われた。