大本山清浄華院 第83世 飯田実雄台下 晋山式 厳修
練り行列の途中、清浄華院勅使門前で行われた開門式の様子。「広開浄土門(広く浄土門を開かんとの意)」に合わせて門の扉が開かれ、飯田台下はおもむろに清浄華院境内へ進まれた
10月19日、高く青く澄み渡った秋空の下、京都市上京区にある大本山清浄華院で、同院第83世・飯田実雄台下の晋山式が盛大に営まれ、山内には台下の晋山を喜ぶお念仏の声が響きわたった。
晋山式とは、新たに任命された住職が、住職として初めてそのお寺に入ることを記念して営まれる法要のことで、「晋」は進む、「山」は寺院を意味する。
飯田台下は、令和3年5月に清浄華院法主に就任。当初は今年3月に晋山式を営む予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、延期していた。
式は午後1時に梵鐘の音を合図に練り行列から始まり、近隣の護浄院(天台宗)から出発。色鮮やかな袈裟と衣を纏った台下を中心とした僧侶らは、雅楽による奉楽や詠唱を加えて、厳かに清浄華院へと進んだ。
台下は同院門前に到着すると、境内に進むための儀式、開門式を勤め、続いて同院皇室墓所や、法然上人御廟、歴代住職墓を参拝。その後、上人を本尊として祀る御影堂に昇殿された。
中央の高座へ進まれると、堂内正面の法然上人御影(お像)に深く礼拝され、その後に読経が始まった。台下は法要のなかで、表白(法要の趣旨を綴った文章)を読み上げ、晋山の報告と寺門興隆を法然上人や歴代住職に誓われた。その後、参列者に十念を授与されると、堂内にはお念仏の声が響き渡った。
台下は法要後の挨拶で、「伊藤御門主猊下、各大本山御法主台下をはじめ、大勢の有縁の皆様に囲まれ、晋山式を挙げていただきました。この感激を胸に清浄華院、そして開宗850年慶讃記念事業完遂のために一所懸命尽くしたい」と決意を語られた。
当日は浄土門主・総本山知恩院門跡伊藤唯眞猊下をはじめ、大本山御法主台下らや、川中光敎宗務総長ほか、宗内外の要職者を来賓に迎え、また清浄華院檀信徒、飯田台下が住職を務められた安楽寺(長野県駒ヶ根市)檀信徒など、約600名が参列し、晋山の喜びを分かち合った。
飯田台下は昭和24年生まれの72歳。長野教区伊那組組長や浄土宗常任布教師、大本山清浄華院長老職を歴任された。
清浄華院は平安時代に宮中(天皇の住まい)に建立され、法然上人が後白河法皇・高倉天皇・後鳥羽上皇に授戒した縁から浄土宗となり、以来皇室の帰依の篤い寺院として人々の信仰を集めている。