浄土宗新聞

後世に伝え遺すため 400年ぶりに善光寺如来絵伝を修繕 甲斐善光寺

絵伝の修復の様子。しわ伸ばしや色彩の復元などが行われている

絵伝の修復の様子。しわ伸ばしや色彩の復元などが行われている

山梨県甲府市の甲斐善光寺(藤井明雄住職)が所蔵する市指定文化財「絹本着色善光寺如来絵伝」の修繕が進められ、全国的にも貴重な文化財の修復に地域では話題を集めている。
同絵伝は、15世紀後半作で、同時期に制作された『善光寺絵伝』は全国でも8本しか現存しておらず、大変貴重なものとされる。縦約145センチ、横約80センチの掛軸で構成され、第一幅には善光寺如来出現から百済出発まで。第二幅には日本伝来から善光寺建立までを描いている。
室町期に戦国武将・武田信玄が信州善光寺より移したものと伝わり、以来、甲斐善光寺で護り続けてきたが、修理の記録は江戸時代初期に残るのみで、経年劣化等による破損が目立つようになってきたことから、修繕を決意。来年3月には完了する予定で、今後特別展示も検討している。
同寺副住職の吉原知仙師は「絵伝は大変貴重なもので、しっかりと後世に伝え残していきたい」と話す。