政子像を現代技術で復元 尼将軍晩年のお姿が判明 鎌倉・安養院 政子像を現代技術で復元
鎌倉幕府の“尼将軍”と呼ばれた北条政子(1157―1225)ゆかりの寺院である鎌倉市の安養院(鳥居淳生(とりいじゅんしょう)住職)が、所蔵する北条政子と伝わる像を復元した。
同院は政子が夫である源頼朝を弔うために建立した長楽寺が前身。政子の甥にあたる北条泰時(やすとき)が政子を弔うために堂宇を整え、安養院となった。
同院には政子像が2体あり、1体は教科書に取り上げられることが多く、大正期に制作されたもの。今回、復元された像はもう1体のもので、傷みがひどく、製作年代なども不明であった。
同像の詳細を知りたいと考えた鳥居住職が、交友のあった仏像修復家・牧野隆夫(まきのたかお)氏に相談。調査とともに制作当時の姿をレプリカで復元することになった。
調査では木片などから制作年代を測定しながら、像のスキャンデータを作成。欠損部分は類似の像を参考にして補い、3Dプリンターで出力してレプリカを作成した。復元した像からは、原物では判別できない顔のしわやたるみがはっきりと見て取れ、晩年の姿を現したものと分かった。
鳥居住職は、「お像からは政子さまの激動の人生が伝わります。その想いを受け継ぎ、これからも人々に伝えていきたい」と話す。