令和8年11月

投稿日時

歌壇
堀部知子 選 投歌総数89首

三重 奥田悦生

三十九人雨の奈良路を念佛と笑顔で巡りまた来年へ

評

一連十二首よりこの一首を選ぶ。四つの寺を三十九人で巡られた、笑いに満ちた念佛の旅の一首。

埼玉 川田芳章

自家製の梅酒と交換の枝豆が全滅したとLINEの知らせ

評

あら、残念! 楽しみにしていた枝豆が‼ 自家製の梅酒はおいしいのでしょうね。

三重 本城美喜子

ばあばってママより若いっておかしいよ数字もわかる嘘はおしまい

評

なかなかほほえましい一首。数字が分かるだけに嘘はつけない。お孫さんの成長を思わせる一首。

大阪 山崎有夏

必要とされる嬉しさ必要とされる重さの狭間に揺れる

京都 根来美知代

かけっこと同じ速さで声あげて自分の席に戻る園児等

長崎 吉田耕一

断捨離をしては老後が寂しすぎ一つ買い足し二つ買い足し

埼玉 塚﨑孝蔵

小室山先に見えるは大室や山焼終り富士に雪渓 

大阪 橘ミヨ子

沿道に知りたる人も少なくて囃子かける声の秋祭かな 

山口 沖村宏明

過去なんて捨て去るものと思ってた着いて来るのは過去なんだ実は

秋田 小川慶子

いちめんの夕焼あびる忠魂碑シロツメクサとヒルガオのそばに

大分 小林 繁

そっと咲きそっと花散る姫椿汝は慎ましき生の化身か

東京 蚫谷定幸

ふるさとの還暦会は欠席し写真が届き皆変らずに

埼玉 山本 明

湖に夕日傾く夏の日よ気づかぬ恋に指さえ触れず

広島 久保和子

定年後は晴耕雨読を夢見つつ一生懸命働きし日々

評

「定年後」を「定年後は」に、「晴耕雨読」を「晴耕雨読を」に、「働いた日々」を「働きし日々」に直した。

俳壇
坪内稔典 選 投句総数169句

長崎 吉田耕一

詠む吾と読む妻がいて敬老日

評

いいなあ、この風景! 妻に「まだだめね、ここ の表現が平凡よ」とけなされている風景が目に見える。もちろん、褒められているさまも。

埼玉 山崎和恵

四半世紀祖母であります吾亦紅

評

四半世紀どころか、今では半世紀以上を祖母であ る人が多いのではないか。いや、曾祖母になった人 も多いだろう。長寿社会のこうした現象、ボクたち がさずかった幸せなのかも。

京都 神居義之

残暑残暑残暑居座り読書かな

評

「残暑」を反復して暑さを強調したのだが、居座 った残暑そのものが読書をしているみたい。なんだ かおかしくて一瞬残暑を忘れた。

三重 中西澄子

ゑのこ草揺れて中央分離帯

埼玉 山本 明

うら盆や妻とうどんを半分こ

滋賀 山本祥三

底にいても綺麗に見える秋の鯉

東京 伊藤 文

仲秋やタンゴをおどる老夫婦

大阪 森 敏記

棚経の前日我が家の大掃除

長崎 香林亮積

新米を母に供える三回忌

長崎 香林亮積

新米を母に供える三回忌

長野 笠原えり子

鬼やんま得意顏して寺の池

滋賀 小早川悦子

秋耕や腰にラジオの畝作り

大阪 津川トシノ

ボロ家にも庭に鈴虫窓に月

和歌山 福井浄堂

またしても同じ話や盆の月

東京 阿部悦子

鳳凰の透かし欄間や秋さやか

愛知 石川順一

秋の雨病院前の喫茶店 

静岡 太田輝彦

縄暖簾鯵のたたきのコップ酒

滋賀 高井多喜美

山の朝栗がはじけて池に落つ

大阪 根来譲二

傍線に思ひ当るや秋夜長 

大阪 林 孝夫

猛暑日にお昼を食べに孫が来る

大阪 山崎有夏

好物の菓子選ぶ手や盆支度

三重 藤井弘美

梢揺れ飛び立つ先は鰯雲

山口 沖村去水

腕時計外した所夏の跡

大阪 原田勝広

爽やかやちょっと脚組みカフェテラス

評

原句は中七が「ちょっと気取って」だった。言い過ぎというか説明になっているので、具体的なようす(風景)に変えた。