浄土宗新聞

滋賀の風土と職人技が生み出す うるわし、鮒寿し 川魚乃 やま重

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滋賀県草津市・西方寺檀信徒

「鮒寿し」(写真・2000円~)は農林水産大臣賞を受賞歴も。
「鮒寿し」(写真・2000円~)は農林水産大臣賞を受賞歴も。

滋賀県の代表的な郷土料理・鮒寿しは、個性豊かな発酵食品だ。興味津々、人生初の鮒寿しを求めて訪れたのは、京都駅から電車で約20分、琵琶湖の南端近くの滋賀県草津市にある「川魚乃やま重」。二代目の山本重樹(しげき)さんと母の悦子(えつこ)さんが出迎えてくれた。
まず、驚いたのは鮒寿しの美しいこと! 朱色の卵と白いごはん。口に入れるとフルーティーな風味、上品な塩気と酸味、旨味が広がる。とろけたごはんはチーズのように芳醇。酒のお供にチビチビつまみ続けたい……。
「春に獲れる琵琶湖産の子持ちニゴロブナを塩漬けにしたあと洗い流し、自家栽培米のごはん、麹、酒を独自に配合して本漬けにします。夏の暑さで発酵が進み、冬になると完成です。地域ごとに味が違って、この辺りのは癖が控えめで食べやすいですよ」と、重樹さん。
悦子さんは86歳とは思えない若々しさで「鮒寿しと鯉のおかげで病気知らずです」と笑顔。
悦子さんは鯉の旨煮などの製造を担当。山本家に嫁に来て、本家である「山本養魚場」で煮つけや佃煮の味付けを教わった。夫の重蔵さんが「やま重」として独立後はずっと店を切り盛り。今も現役で厨房に立っている。
重樹さんは「趣味は鮒寿し用の米作り」と笑うが、実は、その心の奥に「生まれてすぐに亡くなった姉のぶんも生きなくちゃいけない」との想いがあるという。だから、できることは何でもやる。コロナ禍でも立ち止まらない。

「鯉の旨煮」(写真中央・1切500円)、「えび豆」(写真上・1袋500円)は優しくて飽きない味
「鯉の旨煮」(写真中央・1切500円)、「えび豆」(写真上・1袋500円)は優しくて飽きない味。


昨年は店を改装し、店頭販売を充実させ、予約制の飲食スペースを作った。すると、店に来てくれる人が増えてきたという。
帰り際、裏手にある釣り堀に立ち寄った。釣った魚は店で買い取ってもらうか、さばいてもらって持ち帰るかを選べるそうで、常連さんは「食べるのが楽しみ」と、嬉しそうに鯉を持ち帰って行った。 
なんと幸せな夕暮れ。私も、お土産の鮒寿しに合わせる日本酒を買って帰ろう。
(フードライター:藤岡操)

店舗情報

「この辺りはきれいな地下水が豊富。だから魚が美味しい」と語る重樹さん
「この辺りはきれいな地下水が豊富。だから魚が美味しい」と語る重樹さん

〒525-0041 滋賀県草津市青地241 有限会社やま重
TEL:077−563−5430
■営業時間=8時~17時
■定休日=水曜日
■HP=http://www.yamaju.net/
■JR琵琶湖線「草津駅」より徒歩約35分
■駐車場あり
※価格は税込
※通販、うなぎランチは要電話問合せ