浄土宗新聞

日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第16回 「送仏偈」

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仏さまをお見送り「送仏偈」

請仏随縁還本国 (しょうぶつずいえんげんぽんごく)
普散香華心送仏 (ふさんこうけしんそうぶつ)
願仏慈心遙護念 (がんぶつじしんようごねん)
同生相勧尽須来 (どうしょうそうかんじんしゅらい)

十念

意訳
ご縁に随ってお浄土にお帰りください。香を薫じ、花を散らして、心からお送りいたします。願わくは、すでにお浄土にお生まれになった諸先達ともどもに、慈悲の心をもって、お浄土から私たちをお守りください。

【資料】毎日のおつとめ


「浄土宗日常勤行式」の締めくくりとしておとなえするのが「送仏偈」です。「おつとめ」のはじめに「四奉請・三奉請」をとなえてお迎えした仏さまを、お送りする意味があります。

どうぞ極楽へお帰りください、そして、私たちのご先祖さまと共に見守っていてください、とお願いをしつつお送りするのです。実際に花を散らしてお送りすることは難しいですが、心を込めた感謝の想いがこの一節に表れていると受け取るべきでしょう。その願いを受け取って、阿弥陀さま、ご先祖さまも笑顔で見つめてくださることでしょう。私たちと仏さま、ご先祖さまの思いとは、一方通行ではないのですから。
こうして仏さまをお見送りした後、心静かにお十念をとなえておつとめを終えます。

続けること


「日常勤行式」は、〝日常〞の語でもわかるように、日ごろのおつとめの式次第ですから毎日勤めるのが理想です。「継続は力なり」の言葉がありますが、まさに「日常勤行式」にも、同様のことがいえます。続けること、つまり、積み重ねることが大切なのです。

連載中、たびたび「深く信じ、その功徳を他者に振り向ける」という表現を出しました。「深く信じる」とは簡単なようですが、一つの想いをずっと心に留め続けるのは実は大変なことです。ましてや法然上人のように、確固たる信念をもって阿弥陀さまへの信心を保ち続けることは。

だからこそ、日々の「おつとめ」が大切になってくるのです。法然上人はこの、深く信じる心や他者への慈しみの心は「お念仏をとなえる毎日の中で自然と具わる」としています。そして、そのお念仏を〝中心〞として、心から阿弥陀さまのみ教えを信じてお念仏をとなえることができるように構成されているのが「浄土宗日常勤行式」なのです。

ご先祖さまがいらっしゃる、そしていつかは私たちもお迎えをいただく、極楽浄土に想いをめぐらしつつ、生活の一部として「日常勤行式」をおつとめください。

【関連ページ】
毎日のおつとめ
【動画】浄土宗 毎日のおつとめ 四奉請・三唱礼ver
【動画】浄土宗 毎日のおつとめ 三奉請・三身礼ver


日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 バックナンバー

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日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第2回「香偈」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第3回「三宝礼」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第4回「四奉請・三奉請」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第5回「懺悔偈・ 十念」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第6回「開経偈」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第7回「四誓偈」➀
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第8回「四誓偈」➁
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第9回「本誓偈」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第10回「一枚起請文」➀
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第11回「一枚起請文」➁
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日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第14回「総願偈」
日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第15回「」